大会結果 2010年度大会 大会レポート

2010年9月8日掲載

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熱戦始まる!!

2010年度の『ルネサスマイコンカーラリー競技大会』(以下RMCR大会)が2010年8月22日(日)に昨年と同じ秋葉原UDXビルAKIBA_SQUAREを会場に開催された。主催は、ルネサス エレクトロニクス株式会社、4月1日に、NECエレクトロニクス(株)と(株)ルネサス テクノロジが合併して誕生した新会社である。本大会は、ジャパンマイコンカーラリー(以下JMCR)から、一般部門が分離独立し、昨年に第1回目を開催、今回が2回目となる。社会人や大学生が主対象の大会だが、高校生以下の生徒まで幅広い層が参加できる様、一般の部と共に高校生以下の部が設定されている。6月1日の募集開始後、一般の部(120名)はわずか数時間で一杯となり、高校生以下の部(50名)も翌日には満杯となった。以下本夏の酷暑に負けぬ熱戦が行われた大会レポートをお届けする。

試走

8月21日(土)12時30分、AKIBA_SQUARE前には既に50名を超える行列ができている。明日の本大会を前に、今回から設定された前日の試走会に参加する選手達である。すでに、ガラス壁を通しコースが確認できる。本年度コースは長さが59.75mと昨年の80.39mより20m短いが、クランク4箇所、レーンチェンジ2箇所、Ω(蛸壺型のS字)コース2箇所、連続スネークコースの制御重視のコースに今回、競技規則で予告がされていた新レギュレーションである白黒反転コースが白線3本のマーカと共に組み込まれている。試走会参加者は開場時刻13時を前に更に増え、AKIBA_SQUARE前の歩行に支障をきたす程になり、予定より早く12時45分に開場された。1年ぶりのマイコンカー仲間との挨拶もそこそこに、数多くの試走を急ぐ選手達は、マシンの調整、車検にと会場内は一気に熱気に満ちた。今回から、マイコンはルネサス エレクトロニクス製であればどの種類を使っても良いこととなり、車検での確認項目となった。

13時30分試走開始。15時まではスタートゲートを開けたままの走行、15時からはゲートを使用しタイム計測も行なわれた。注目の白黒反転コースは、誤動作するマシンが続出、設置位置がスタートゲート直前にあり高スピードでスタートゲートに激突するマシンも多く、主催側が急遽カバーを強化することになった。更に、坂道の頂上部のカーブ、坂道下り直後のクランク部など、センサ部のぶれが致命傷になりかねないコースの性格が明らかとなってきた。タイム計測が始まると優勝候補と目される強豪マシンのタイムが注目を集め、15秒台が入賞の目安と目されてきた。脱輪するマシンも目立つ。明日の本大会に向けてこれから調整を余儀なくされることが思いやられた。16時に試走会が終了、明日の本大会に向け選手達は思い思いに会場を後にした。

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今年のコースレイアウト、白黒反転コースが新しく追加された

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予想外の脱輪で急遽、調整

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試走中


開会式

明けて8月22日(日)8時、AKIBA_SQUARE前に設置された整列ラインに選手、付き添いの方が並んだ。マシンの製作が間に合わぬ等で、最終登録者数は一般の部102名、高校生以下の部48名の合計150名での受付となった。8時10分開場、受付開始。選手控え場所は瞬く間に、緊張と期待の面々で一杯となった。8時45分開会式が執り行われた。主催者のルネサス エレクトロニクス側を代表し岩下裕之実行委員長が挨拶、ご来賓としてJMCR全国大会の会場校である札幌国際情報高校の教諭でJMCR実行委員会事務局長の向平弘之氏、防衛大学校 教授の滝田好宏氏が紹介され、いよいよ本大会の幕が切って落とされた。走行は予選2回走行しタイムの良い方を記録とする。一般部門は予選タイムの良い上位32台が決勝トーナメントに進み、高校生以下の部は8台が決勝トーナメントに進む。会場には、今大会から、決勝トーナメントの進出者と通過タイムがリアルタイムで表示されるスクリーンが設置され、選手が現在の予選通過者、予選通過タイムから、次の走行で自分のマシンの設定をどうするかの、判断情報を得られる様になった。

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開会式の様子

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岩下裕之実行委員長より挨拶

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ご来賓のJMCR実行委員会事務局長・向平弘之氏より挨拶


予選

9時20分、一般の部から予選が始まった。予選走行は16台毎のグループ単位で行われ一般の部がAグループからFグループの6グループ。高校生以下の部がGグループからIグループの3グループで行われた。最初の組合せ、相川選手・NIZIMZSU01号と飯田選手・カナル01号が、緊張のスタンバイ、皆の注目の中、スタート音と共にマシンはゲートオープンを感知し走り始めたが残念ながら両者コースアウト。初記録は2組目の猪熊選手・熊九郎号が16.68秒の好タイムで完走し皆の拍手を受けた。レースが進む中、思いの他コースアウトが目立ちAグループの完走マシンは結局4台。その後も完走はBグループ6台、Cグループ5台と今回コースが見た目以上に難しいことを感じさせた。その中でも、昨年ベスト8以上に入賞の注目マシンは続々と好タイムを刻んでゆく。小池選手・黒鷺号15.94秒、本行選手・Suzupy号16.33秒、小倉選手・オグラケ@号16.73秒、昨年準優勝でリベンジに燃える深澤選手・テスタープロトは15.16秒の脅威の走り。堤谷選手・δS4号16.56秒、中岡選手・STIKK号15.58秒、昨年3位の三輪選手・Infinity号は15.81秒、そして、JMCR2010一般部門優勝、昨年のRMCR大会優勝、さらには今大会と一般の部3連覇がかかる注目の徳永選手・件(クダン)号がやはり速い15.36秒と、昨年ベスト8の実力を見せ付けた。その他、昨年は不出場だったが、強豪として知られる中村選手・ランサー号が15.35秒と15秒台に入る。選手の中には、日本の大学で学んでおられる2名のベトナムの方、今春高校を卒業しJMCR大会から引き続きRMCRに初参入した選手もおり、予選通過に挑んだ。走行の様子は、一般の部は滝田教授、高校生以下の部は向平JMCR事務局長がMCと共に観客の方に解説をされた。観客に目を移すと、予選走行が進む中、会場には徐々に観客が増えて来た。今回、会場には、展示コーナが設けられ、初めてマイコンカーラリーを観戦する方の為に、マイコンカーラリーの競技及びマシンが走る原理の説明やマシン現物の展示、主催のルネサス エレクトロニクスの会社案内、RX及び78K0Rの新マイコンを搭載したマイコンカーの展示、説明も行われ、日曜日の秋葉原ということもあり家族連れや、外人の方が初めて見るマイコンカーの走りに"Fantastic"、"Amazing"と驚きの声をあげていた。観客の中に出走はならなかったが、マイコンカーに取り組む人が尊敬する田村さんの姿があった。本年85歳になられるが、今も現役として、ものづくりに取り組んでおられスタッフ、選手に元気を与えてくれている。

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ルールどおり製作されているか確認する車検

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大会の様子

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緊張しながらマイコンカーをセット



注目の予選結果は、一般の部が、1位が河野選手・15.12秒、2位深澤選手・15.16秒、3位中村選手・15.35秒で、8位までが15秒台。9位から20位までが16秒台、予選通過の32位の辻選手・19.02秒と決勝トーナメントでの激戦が予想される結果となった。完走台数は45台であった。

高校生以下の部は、1位が神谷選手・テスターシャックリ号15.51秒、2位が坪井選手・テスターツボイ号15.62秒、3位が前田選手・テスターマエビョン号16.17秒と上位3位を岐阜県立可児工業高等学校が占め、JMCR2010大会での優勝校の実力を見せつけた。予選通過8位は吉田選手・白揚の白熊号18.37秒と一般の部に劣らない記録となった。完走台数は16台であった。

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一般の部・予選2位の深澤選手

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一般の部・予選3位の中村選手

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高校生以下の部・予選1位の神谷選手


決勝トーナメント【一般の部1~2回戦】

13時、決勝トーナメントがスタートした。組合せは1位と32位、2位と31位‥と記録上位と下位で組み合わせてゆく。相手の予選のタイムが実力か、コースアウトは即敗退につながり慎重な走りを選択するか、一発勝負にかけるか相手を見ながらの駆け引きでのレースが始まる。一般の部はベスト8までまず選出する。最初の決勝トーナメント、予選1位・河野選手と32位・辻選手がMCの号令でスタート、河野選手が15.10秒の今までの最高タイムで勝ち上がる。辻選手も完走。ベスト8までには2回勝ち上がる必要がある。1回戦は上位マシンがほぼ順当に勝ち上がる中、番狂わせが2試合あった。予選8位15.97秒の記録を持つ井上選手がまさかのコースアウト。また、予選11位の川上選手もコースアウト。予選同様の走りで完走した相手選手が勝ちあがった。2回戦最初の試合、河野選手が会場がどよめくまさかのコースアウト、相手の稲岡選手はこの時点で順当に走行し大番狂わせと思った時、なんと稲岡選手も無念のコースアウト。前の試合のタイムが良い選手が勝ちあがる規定により河野選手がベスト8に一番のりした。ベスト8には、河野選手、竹村選手、中岡選手、徳永選手、深澤選手、小池選手、三輪選手、中村選手が勝ちあがった。うち4人の選手は2回とも15秒台の走りであった。

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辻選手vs河野選手

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志村選手vs中岡選手

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佐藤選手vs中村選手


決勝トーナメント【高校生以下の部】

13時50分 高校生以下の部の決勝トーナメントがスタート。高校生以下の部は決勝まで行う。ベスト4選出戦、予選3位・前田選手、4位・熊田選手が無念のコースアウト。ベスト4は岐阜県立可児工業高等学校勢3人に、長野県駒ヶ根工業高等学校の竹村選手が挑む構図となった。準決勝、竹村選手は残念ながら及ばず、15秒台で勝ち上がった予選1位・神谷選手と予選2位・坪井選手が決勝に進んだ。竹村選手は3位決定戦で勝ち一矢を報いた。さて高校生以下の部決勝戦、神谷選手は自信満々で臨んだがなんとコースアウト。坪井選手が15.87秒で優勝を飾り観客から盛大な拍手が贈られた。

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吉田選手vs神谷選手

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竹村選手vs前田選手

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決勝戦・神谷選手vs坪井選手


決勝トーナメント【一般の部ベスト8】

大会も大詰め、14時10分、一般の部の優勝者を決める試合が始まった。実力マシンが揃い勝ち上がるには運任せでなく自分の最高性能を引き出せないと勝てない。準決勝1回戦、タイムで勝る河野選手に挑戦する竹村選手は設定をMAXにしたかコースアウト。河野選手も設定を上げたのか15.03秒の凄い走りだった。中岡選手と徳永選手の対戦は拮抗した走りで最後までどちらが勝つか分からなかったが、徳永選手が15.52秒の0.15秒差で勝ちあがった。残り2人は、深澤選手が15.21秒、中村選手が15.39秒で勝ちあがりベスト4が出揃った。準決勝は、現在のマイコンカー界を引っ張る4人の戦い。まず、河野選手と3連覇を賭ける徳永選手の試合は、最後までどちらが勝つのかわからない凄まじい戦いであった。結果は河野選手が大会初めてとなる14秒台の14.96秒を記録。徳永選手も15.03秒。準決勝もう1試合は、深澤選手がなんと河野選手と同じ14.96秒で、中村選手をかわした。中村選手は、予選から決勝全てほぼ15.4秒前後の安定した走りを見せつけた。決勝戦の前、3位決定戦が行われた。なんとここで大会ベストタイムとなる14.94秒を徳永選手が叩き出し3位となり会場を沸かした。決勝戦、観客席は最後の試合を見逃さまいと、また、ビデオに記録しようとする観客であふれた。応援の声、ざわめきから皆が息を殺し、いよいよスタートのカウントダウン。INコース河野選手とOUTコース深澤選手がスタート音とともにスタート。速い、目で追うが、どちらが勝ってるのか全くわからない。最終コースから両マシンがゲートに飛び込む。IN・15.15秒、OUT・15.02秒。0.13秒の鼻の差で、昨年準優勝の深澤選手が雪辱を果たし優勝した。会場はおおきな拍手で包まれた。

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3位決定戦・徳永選手vs中村選手 右側のタイムが今大会ベストタイムの14.94秒

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決勝戦・深澤選手vs河野選手 ゴールの瞬間、わずかに深澤選手のマイコンカーが先にゴール!!

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決勝戦のタイム


表彰式、閉会式

ルネサスマイコンカーラリー競技大会は全ての競技日程を終え、表彰式、閉会式が行われた。まず、島津審査委員長から結果発表。入賞の一人一人に会場から暖かい大きな拍手が贈られた。始めに一般の部の表彰、優勝は深澤選手・テスタープロト号。ルネサスの岩下裕之実行委員長から表彰状と賞金が贈られ大きな拍手を受けた。続いて2位の河野選手・FRAGILE10号、3位の徳永選手・件(クダン)号。ベスト8の4位から8位は、中村選手・ランサー9号、竹村選手・MJ-T01号、中岡選手・STIKK号、小池選手・黒鷺号、三輪選手・Infinity号。ベストタイム賞は14.94秒で徳永選手。そして今回新たに設定されたルネサス賞のメダルと副賞が遠藤泰三副委員長から河野選手に贈られた。高校生以下の部の表彰。優勝は坪井選手・テスターツボイ号、準優勝は神谷選手・テスターシャックリー号、3位は竹村選手・VF-28号。岩下大会委員長から表彰状とルネサスグッズが贈られた。ちなみに高校生以下の部のベストタイムは神谷選手の15.47秒であった。

表彰式の後、滝田教授より「速いマシンの選手は、調整のツボをよく理解している。上位に入賞した方は、その技術を伝えてもらい、全体のレベルの底上げをお願いしたい。」と、今大会の講評を頂いた。大会の締めくくりとして主催者側を代表しルネサスの広田和洋副委員長から「大会で走るのは一瞬だが、そこに至るまでの努力が素晴らしい。今後の大会については決まり次第お伝えする。」との御礼の挨拶があり、全国から秋葉原に集まった選手、観客の大きな拍手の中、大会の終幕を迎えた。(O)

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ルネサス賞について説明する遠藤泰三副委員長

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ルネサス賞を受賞した河野選手

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防衛大学校・滝田教授による講評



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広田和洋副委員長による閉会挨拶

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一般の部上位入賞者の皆さん、おめでとうございます!

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高校生以下の部入賞者の皆さん、おめでとうございます!



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