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2004年大会大会レポート
予選レース

 目の前にそびえる赤、オレンジ、緑の信号灯。Go!の合図とともにスイッチを入れ、愛車から手をはなす選手たち。「コースアウトするな…少しでも早く走ってゴールしてくれ...」。マイコンカーというこの小さな主役たちを、しっかりと目で追う選手たち。車はこの一年間の集大成ともいえるべき成果を、余すところなく発揮していく。毎年のことだが、何よりも完走することが大きな関門であることは今年も間違いない。
 今年は高校生の部では120台、一般の部では121台が予選レースに参戦。それぞれ32台が決勝トーナメントに出場できる。高校生の部では完走は45台、その完走率は37.5%。一般の部では59台、完走率48.8%。昨年に比べ完走率はアップしたが、完走を成し遂げることはまだまだ難しいようだ。決勝進出を目指してスピード重視か、それとも安定した走りを取るか、この選択が今年も明暗を分け、いくつものドラマが作られていった。


スタート直前の緊張の瞬間

残念! コースアウト

無念だが・・・車を取り上げる選手

小さなエースドライバー
 今大会もまた、一般の部に数名、子供の選手がいた。昨年に引き続き出場したのは、昨年のポケモン“ピチュー”に変わり、今年は車体先端部分に“アンパンマン”をあしらった「かーくん」の小野夏菜恵ちゃん。途中でセンサ部分がコース外にはみ出し車が停止してしまい、そーっと手で戻そうとしたが、審判にばっちり見つかってしまい失格。その時たまたまコース上にいたもうひとりの審判であり、お父さんでもある小野先生も、会場アナウンスに苦笑していた。車体を銀一色の多角形で覆った「ミラー号II」で戦いに臨んだ小学5年生の喜多村岳君も昨年に引き続きの出場だ。今年も見事完走したが、予選タイム55位で惜しくも涙をのんだ。小さな戦士の中でただひとり決勝進出を果たしたのが、愛車「O−REX」で出場した、前橋市立中川小学校の阿佐美理くん。大人顔負けの素晴らしい走りで、25秒59での予選通過。会場からは驚きと応援の声援が多数送られていた。

小野夏菜恵ちゃんと「かーくん」アンパンマンがポイント 喜多村 岳くんと「ミラー号II」銀色の多角形のマイコンカー

阿佐美理くんと「O−REX」上部についているのは持ちあげるための取っ手とのこと(本人談)

おいらの自慢の愛車

タイム表示「2分58秒91」
 今年もまた、タイムを競い合うデジタルな争いではなく、デザインというアナログな部分で勝負を挑んだマイコンカーも多数見られた。キャラクタでアクセントをつけたものあり、大型でがっちりしたものあり、反対にちっちゃくてかわいいものあり、観客の目を大いに楽しませてくれた。特に毎年参加してくれているJICA(財)さっぽろ産業振興財団 北田義孝さんの愛車「SayaMizu V」は、過去の大会を含めたレースの中で、最もユニークな記録を打ち立てた。規定コース内の走行タイムの限界は3分。これ以上かかってしまうと失格となってしまう。北田さんは3分かけてゴールすることを宣言。見事2分58秒91のタイムで完走した。もちろん完走車中最下位の59位だったため決勝トーナメントには進出できなかったが、この記録は今後もなかなか破られることのないものになったのではないだろうか。これらマイコンカーの走りは、熱きレースの間でほっと和やかにさせる雰囲気の醸成とでも言えるだろうか、今後も是非ユニークなマイコンカーの登場を期待したい。


岡山県立高梁工業高校 野田雅人くんの「SONIC−2522」。上部に張り出したセンサ用ケーブルが特長。

和歌山県立紀北工業高校 辻本真理さんの「mari紀北」。昨年に続き出場した数少ない女性の選手。残念ながらコースアウトしてしまった。

富山県立大沢野工業高校 平野夏彦くんの「VANQUISHV4」。後部につけた距離を測るためのタイヤが特長。予選タイム12位の成績で見事決勝トーナメント進出。

JICA(財)さっぽろ産業振興財団 北田義孝さんの「SayaMizu V」飛行機をイメージ。安全走行(飛行?)で見事完走。

(株)ビー・ユー・ジー 堀耕太郎さんの「走れコータロー 五」。かなりレースカーっぽく、前に突き出たセンサがない

徳島県立徳島工業高校教諭 松尾泰伸さんの「きぐるみX」。排出口までリアルに作られている。

JICA講師 水野明さんの「SADAKO」。マイコンカーボックスがそのままマイコンカーになってしまったというユニークなもの。今大会随一の大きさを誇る。

(株)ビー・ユー・ジー 友広雅樹さんの「びっく・ろーり」。大きなタイヤにマシン全体が挟まれているといった感じ。外観だけではなく、センサにカメラを搭載し、技術的にも高度

無所属 佐藤郁雄さんの「ヒラメ」。ヒラメのようにすいすいと行きたいところだったが、残念ながら脱輪。

国際色豊か

2階に張られたブラジル、エジプト、中国、トルコ、ウズベキスタン、スリランカ(順不同)各国の国旗
 今大会も、JICA研修員の方が9名エントリーされていた。
 毎年のことだが、日本という異文化の中で自分のマイコンカーを作り上げ出場する姿勢はすばらしい! 9台中8台が完走し、そのチームワークの良さを見せつけたが、上位32台には残念ながら1台も入れず、決勝トーナメントには進めなかった。来年もまた、世界各国から日本に来ている選手たちの出場を期待したい。

ゴールできるか?!Jacobさん

残り半周! Bai Yulongさん

愛車を心配そうに追う Gurcanさん

ステージ上では白熱した実況が・・・

橋本アナウンサと石村先生
 レースはAコース、Bコースの2コースで行われ、それぞれ2人ずつ、合計4人が同時に戦いに挑む。スピード感あり、よちよちあり。また見事完走を果たすもの、残念ながらコースアウトしてしまうもの、止まって動かないものなど、緊迫したレースの状況は刻々とめまぐるしく変わっている。そんな状況を、軽快で、ときにウィットのきいたしゃべりで、的確に伝えているのが、実況担当の橋本登代子アナウンサ、そしてその横でこれまた名解説を加えているのが、元琴似工業高校教諭の石村光政先生だ。2人とも第1回大会から、ず〜っと抜群のコンビネーションで白熱したレース展開をかみ砕いて伝えている。
 この2人の掛け合いは、時にはかなりバトルっぽい。橋本アナウンサは、分からないことはストレートに聞くタイプのようで、石村先生たじたじの場面もいくつか見られた。

熱気あふれる大声援

活気に満ちた観戦フロア
 大きなどよめきや惜しみない拍手、老若男女の楽しげな笑い声、「がんばれ!」という声援。ふと見上げると、2階、3階は観客でびっしりと埋まり、皆息をのんで眼下のレースを見守っていた。

大会を支えるスタッフ

真剣な表情で見つめる審判団
 緊迫した状況の中で、常に公正な判断を求められる審判団や、デリケートなコースのメンテナンスを絶えず行うスタッフ。そして会場外の雪かきや交通整理を行っている国際情報高校の生徒たち、多忙な運営スタッフの昼食を用意するPTAの方々など、ジャパンマイコンカーラリーは、こういったたくさんのスタッフに支えられていることを、決して忘れてはならない。
厳寒の中で大会を支えている生徒たち。彼らの努力も決して忘れてはならない。 熱き戦いに、コースメンテナンスは欠かすことのできない大切な仕事だ。 美味しいカレーを作ってくれました。PTAのお母さんたち、どうもありがとう!
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