予選の熱気が冷めやらぬ中、決勝トーナメントがスタート。いかにして対戦相手のタイムを予想して、脱輪せず完走できるスピードで勝ち抜くか、ここが選手達の腕の見せ所だ。それは高校生の部予選一位の目谷選手(赤兎馬/富山県立大沢野工業高校)が2回戦で、まさかのコースアウトにより姿を消してしまったことにも象徴されている。とはいえ、さすがにここまで激戦を乗り越えてきた戦士達。目まぐるしく展開する決勝トーナメント2回戦を勝ち抜きベスト8に残ったのは、目谷選手のいたブロックで勝ち残った鈴木選手(試作品一号/北海道紋別南高校)以外は、予選通過タイム上位8位までの選手達であった。
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今回、女神が舞い降りたJICAのキャシィーさん。再走行の行方を見守る
キャシィーさんの奇跡の連続に沸くJICAのチームメイト |
高校のベスト8が決まると、続いて一般の決勝レースが始まったのだが、ここで信じられないドラマが生まれた。先程もふれたが一般の予選完走が33台、その内32台が決勝トーナメントに進んだ。JICA研修員のキャシィーさんの「SUN2002」もそんな荒れ模様の予選を安定した走りで完走し、1分16秒61という30位のタイムで決勝トーナメントに進んだ。キャシィーさんのトーナメント1回戦の相手は、2001年ロボフェスタ神奈川大会を制した、あの滝田先生の弟子でもある竹村先生の「ミニマッハGO」。竹村さんの予選通過タイムは26秒37でその差50秒24。誰もが竹村さんの2回戦進出を予想していたその時、奇跡は起きた。竹村さんの「ミニマッハGO」がキャシィーさんの「SUN2002」を追い越し、勝負が決したと思った直後なんと「ミニマッハGO」がまさかのコースアウト。ルール上、追い越されたマシンは追い越したマシンがリタイヤした場合、再走行をして完走できれば次に進むことができる。キャシィーさんの「SUN2002」は再走を堂々と走り抜け、2回戦へ駒を進めた。
しかし、そのマシン名ゆえに宿ってしまったのか「太陽の女神」のシナリオは続きが用意されていた。なんと2回戦でも、長内さんの「ああ言えばこう言う号」が「SUN2002」を追い抜いた直後、まるで魔法をかけられたかのようにコースアウトしてしまったのだ。チームメイトのレースを見守っていたJICAの皆さんをはじめ、会場はそのミラクルに大いに沸いた。そしてキャシィーさんは、なんと1分15秒というタイムでベスト8進出を決めてしまったのである。これこそマイコンカーラリーの醍醐味、いやむしろ人生の縮図を見たというべきかもしれない。 |