小・中学生の選手たちも元気いっぱいのレースを見せてくれた |
第2回大会から参加しているジャパンマイコンカーラリーの“顔”防衛大学校 滝田教授(右)もしっかり予選通過 |
選手たちの表情を見ているだけでも楽しい |
午前9時40分、いよいよ待ちに待った競技の開始である。一般の部の予選は、午前11時10分にスタート。高校生の部で教え子たちが健闘する中、コースに姿を現した熊本県立球磨工業高等学校教諭の石井勝選手が、Aグループ1組目で18.77秒といきなりの好タイムを記録。「さすがに、一般の部は安定している」と観客を唸らせた。ところが、その後レース展開は波乱に満ちた様相を展開する。Bグループ2組目で、ともに地区予選を1位で通過して今大会に臨んだ、北東北地区の今井豊選手と、山形地区の大坂友人選手が対戦。しかし、両者ともコース序盤でレーンをはずれ、あえなくリタイヤとなった。また、2005年大会の優勝者・四国地区代表の中尾伊知郎選手もゴールできずに姿を消す。さらに、2006年大会で最速タイムを打ち出した九州地区の綿貫祐介選手も、中盤まではさすがのパフォーマンスを展開するも、何でもないはずのカーブで突然の脱輪。レース後、綿貫選手は「バグとしか考えられない」と唇をかみ締めていた。予選前半のトップの座についたのは、北信越地区大会を制した藤井愛香選手。高校生の部を席巻した富山県立大沢野工業高等学校の職員をされているそうで、観客から「大沢野恐るべし」の声も上がっていた。続く予選後半も、波乱含みの展開となってしまった。2006年大会の準優勝者で、今大会の地区予選も堂々のトップで通過し、まずは難なく初戦を飾ると見られていた、防衛大学校情報工学科の榮井弓子選手が、まさかのコースアウト。「控え室の試走コースの走行から、車体の形状がコースに合っていないように感じていたのですが、その不安が的中してしまいました」と肩を落としていた。Dグループ12組目には、強豪揃いの四国地区大会を制した福永信雄選手が登場。マシンが見せたブレの少ない挙動に、予選トップ通過を予感させた。ところが、17.89秒のタイムを計測するも、車体はゴールを通過したあたりで仰向けになって転倒。急遽審判団が集まり、協議が始まった。数分間におよぶ中断の後、審判団が下した結果は、なんとコースアウトによる失格。衝突に備えてゴールゲート手前に設置してあったスポンジに、コースをはずれた車体がヒットしていたのである。福永選手はこの判定に、ただ天を仰ぐしかなかった。観客を沸かせたのは、Cグループ4組目にスタートしたチームMTYの勘原利幸選手。迫力いっぱいの走りで、まさにあっと言う間にゴールを駆け抜け、電光掲示板に映し出されたタイムは、驚愕の17.55秒。全体を通しても、今大会の最速タイムをたたき出した。また、Dグループ7組目の杉谷光太郎選手は、18.12秒で予選2位に食い込む。杉谷選手も、富山県立大沢野工業高等学校教諭とあって、ここでも大沢野工業高等学校が周囲を驚かせた。さて、勝敗とはまた違った部分で楽しませてくれるのが、一般の部の魅力である。今回も、主にアジア諸国から日本に派遣されている技術者の皆さんが、チームJICAとして参加。どのマシンもゆっくりのんびりの走りが信条とは言え、その完走率は高い水準を示してくれた。また、大人だけでなく小・中学生の参加が認められているのも、会場を沸かせる一因となっている。今回は、中学生の中岡郁晴君が18.27秒の素晴らしいタイムで、予選を6位で通過。小学生の佐藤駿光君も28位で見事に予選を通過し、並み居る猛者たちと立派に渡り合えることを証明した。
一組目でスタートし、好タイムを出した石井選手(右) |
今年もチームJICAの選手たちが会場を沸かせてくれた |
鏡割りにちなんで鏡餅風マシンで参戦した水野明さん |
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