今大会の高校生の部ベスト8は、九州地区から4校5選手。その他は、近畿、南関東、北信越からそれぞれ1校1選手ずつという布陣である。団体戦3連覇がかかっていた四国地区からは、結局のところ1校も残れなかった。準々決勝第1レースは、熊本県立球磨工業高等学校の黒木総一郎選手が安定したレース運びで勝ち上がり、第2レースは富山県立大沢野工業高等学校の布村真佐喜選手が、対戦相手を一蹴。第3レースは熊本県立御船高等学校の河上哲也選手が、続く第4レースは九州産業大学付属九州産業高等学校の香月洋輔選手が、ともに九州地区同士のレースを制した。準決勝には、九州勢3校3選手と富山県立大沢野工業高等学校が進出。最終的には、今大会の台風の目となったチームが勢いにのって勝ち残ってきたわけである。そして、第1レースは布村選手が18.67秒でゴール。対戦相手の黒木選手のマシンは、立体交差上に設置した落下防止用のガードにぶつかり、18.93秒を計測したものの、無念のコースアウトとなった。続く第2レースは、香月選手が同じ地区のライバル校の河上選手がコースアウトするのを横目に、20.05秒というせーフィティーなタイムでゴールゲートを駆け抜けた。続いて、河上選手と黒木選手による、熊本県同士の3位決定戦が行われた。ここでは、黒木選手がまたもや準決勝と同じようなポイントでコースアウト。思わず顔をしかめ、悔しさをあらわにする。一方、準決勝のコースアウトでマシンを一部破損してしまった河上選手だったが、無理できない状況に追い込まれたことがかえって幸いし、20.20秒のタイムで総合3位に輝いた。そして、いよいよ高校生の部・決勝――。予選から18秒台を連発してきた布村選手に対し、堅実なレースを展開してきた香月選手。どちらも頂点に立てば、個人としてはもちろん、チームとしても初の全国制覇となる。誰もが固唾を飲んで見守ったスタートの時、会場に流されていたBGMも中断され、コース上には一瞬の静寂が訪れる。2選手とも、スタートセット完了の合図に軽く右手を上げる。ポーンという電子音と同時にゲートが開かれ、2台のマシンが弾け飛ぶようにコースを駆け巡る。しかし、徐々に布村選手のマシンが差を広げ出し、香月選手の追撃をさらに突き放してゴール。18.15秒と、この日5度目の18秒台を出し、文句なしの栄冠を手にした。優勝決定の瞬間、派手にガッツポーズを取ることもなく、はにかんだように微笑む布村選手。少年の面影が残る、ほのぼのとしたチャンピオンの誕生である。
熊本県勢同士の3位決定戦を制したのは、河上選手(左) |
速さと安定感を兼ね備えたマシンで勝ち進んだ布村選手 |
健闘を称えあう決勝戦で競いあった二人 |
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