いよいよ決勝トーナメントスタート
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タイムを確認する宮崎県立宮崎工業・齋藤祐輔君(左)と茨城県立つくば工科・内山研二君(右)
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2回戦目の宮崎県立宮崎工業・中川剛志君(左)と香川県立高松工芸・坂本龍征君(右)
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予選タイムトライアルを終了し、ここから本当の勝負が始まる。まずは、Basic Classの決勝トーナメントから決勝レースまでが、一挙に行われた。予選を勝ち抜いた16台がAコースに集うと、会場にもこれまでとは一味違う緊張感が漂い始める。レースは2台同時にスタートし、先にゴールしたマシンが勝ち上がっていく方式。失敗は即、命取りとなるわけだ。波乱はつきものであるだけに、どのマシンにも優勝のチャンスが残されている。そんな中、1組目の対戦でいきなりアクシデントが。予選1位の宮崎県立宮崎工業高等学校・齋藤祐輔君が、大きくリードしながらもレース半ばで突然の脱輪。予選16位の対戦相手、新潟県立新津工業高等学校・樋浦真生君に、まさに千載一遇のチャンスが回ってきたかとスタンドが色めきたった矢先、樋浦君のマシンもコースアウト。規定により、予選タイム上位の齋藤君が勝ち上がった。こうして最大の下剋上は幻に終わり、齋藤君の表情には安どの色が浮かんでいた。続く第2レースも、両者がコースアウト。予選タイム上位の、茨城県立つくば工科高等学校・内山研二君がベスト8へ進出した。第3レースでは、予選5位の秋田県立湯沢商工高等学校・大野圭介君が29.60秒で、この日自身初の30秒を切るタイムを計上。そしてこの好タイムが、続くベスト8で大きくモノを言うことになった。第4レースも両者がコースアウトし、余裕を持って走行した予選から一転してマシンを全開モードにしてきたことが裏目に出るケースが続出していく。そんな中、第6レースに挑んだ予選10位の宮崎県立宮崎工業高等学校・中川剛志君が、予選タイムを1秒以上も短縮する29.39秒を記録、予選7位の広島県立広島工業高等学校・松田博紀君を退ける。中川君もまた、このタイムが次のレースで大きな力となった。続いて行われたベスト8の第1レースは、宮崎県立宮崎工業高等学校・齋藤祐輔君が29.46秒で勝ち上がり、ようやく予選1位の本領を発揮した。第2レースは、両者ともコースアウト。予選4位の岐阜県立可児工業高等学校・森勇樹君が勝ち残るかに思われたが、1回戦で29.60秒を打ち出した秋田県立湯沢商工高等学校・大野圭介君に対して、森君は1回戦でコースアウトしており、このケースでは前走タイムが記録となるため、大野君がベスト4に進出することに。続く第3レースも両者がコースアウト。これまた、前走のタイムで上回った宮崎県立宮崎工業高等学校・中川剛志君が、予選2位の香川県立高松工芸高等学校・坂本龍征君を退けたのである。第4レースは、1回戦で30秒を切った福井工業大学附属福井高等学校・酒井宏基君が29.48秒とさらにタイムを縮める好調ぶりで勝ち残った。
スタート直後のマイコンカーを見守る秋田県立湯沢商工・大野圭介君(左)と宮崎県立宮崎工業・中川剛志君(右)
いよいよ決勝トーナメントスタート
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準決勝 宮崎県立宮崎工業・齋藤祐輔君(左) vs 秋田県立湯沢商工・大野圭介君(右)
注目の決勝戦
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優勝しガッツポーズを決める宮崎県立宮崎工業・齋藤祐輔君(右)と福井工業大学附属福井・酒井宏基君(左)
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ベスト4・第1レースは、またもや両者ともにコースアウト。規定により宮崎県立宮崎工業高等学校・齋藤祐輔君が決勝戦の舞台へと駆け上がった。第2レースは、福井工業大学附属福井高等学校・酒井宏基君が29.08秒とさらにタイムを上げ、ファイナリストのもうひとつのイスを奪取した。決勝に先だって行われた3位決定戦はスタートから互角の展開となり、トーナメント屈指のデッドヒートとなった。そして、タイムにしてわずかコンマ1秒上回った秋田県立湯沢商工高等学校・大野圭介君が勝利し、全国3位の栄冠に輝いた。「3年になって初めてこの競技を知りました。やってよかったです!」と大野君は声を弾ませていた。その余韻も冷めぬまま、本大会最初の決勝レースの舞台が整った。予選1位から苦戦しながらも振り返ってみれば順当にここまで勝ち上がった宮崎県立宮崎工業高等学校・齋藤祐輔君と、トーナメントに入って絶好調の福井工業大学附属福井高等学校・酒井宏基君の対戦。どちらもここまで来たからには、負ける気はない。慎重にスタート位置に愛車をセットし、主審に高々と片手を上げ、準備完了をアピール。一瞬の静寂の後、電子音とともにゲートが開く。しかし、齋藤君のマシンがスタートしない。会場がどよめく中、何と酒井君のマシンはコースアウト。かくして、決勝戦では稀に見る、再スタートとなったのである。命拾いした格好の齋藤君のマシンは、今度は勢い良くスタートし、トーナメントに入ってからの不振を払しょくするほどスムーズな走行だ。一方、酒井君のマシンはついに力尽きたか失速気味である。先にゴールゲートに飛び込んだ齋藤君のマシンは、28.50秒と王者に相応しいタイムを打ち立てた。「指導してくださった先生やサポートしてくれた仲間のおかげで優勝できました。この勝利をみんなで分かち合いたいと思います」と、齋藤君は周囲へ感謝の言葉を忘れていなかった。準優勝の酒井君は「実は先輩が昨年このクラスで準優勝だったので、ウチの学校は2年連続の準優勝なんです。でも、やれることはやったので十分満足です」と笑顔をほころばせていた。
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