開会式
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開会式
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来賓挨拶
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可児工業高校・犬飼君が復興を願う心と競技にかける思いを込めた宣誓を行う
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午前9時を前に、会場全体に開会式開催を告げる場内アナウンスが響いた。マシンの調整に没頭していた選手たちは直ぐに手を休め、落ち着いた表情を取り戻しつつそれぞれの席に着く。壇上に立った北海道札幌国際情報高等学校生徒会長・川村勇人君が、全選手へ歓迎の言葉を述べた後、伸びやかに大会の開会を宣言。ここに「ジャパンマイコンカーラリー2012全国大会」が、正式に開幕を迎えた。まずは、昨年度団体優勝の東海地区を代表して、岐阜県立可児工業高等学校・森藤翼君が優勝旗を返還。これをしっかりと受け取ったジャパンマイコンカーラリー大会長の全国工業高等学校長協会理事長・長田利彦氏が「今大会を通じて、ものづくりの大切さを感じ取っていただきたい」と激励の言葉を述べた。来賓からは、文部科学省初等中等教育局児童生徒課産業教育振興室教科調査官・持田雄一氏が「これまで培った技術を存分に発揮して、札幌の寒さに負けない白熱したレースが展開されることを期待しています」とエールを送り、同じく来賓のルネサス エレクトロニクス販売株式会社代表取締役社長・三浦芳彦氏が「この大会を通じて、より強い日本の製造業の担い手となるよう願っています」との言葉とともに、継続的な大会への支援を約束した。そして、岐阜県立可児工業高等学校・犬飼英明君が指名を受け、壇上に進んで選手宣誓。若者らしくはつらつとした声で「私たちはこの大会を開催できることを感謝し、東日本大震災の被害にあわれた方々に元気になってもらえるよう、全力で戦い抜くことを誓います」と宣言。復興を願う心と競技にかける思いを込めた犬飼君の言葉は、全ての参加選手の気持ちを見事に代弁したものであった。なお、今回も北海道札幌国際情報高等学校・放送局が進行役をつとめ、高校生らしい爽やかな司会で選手や列席者の気分を和ませてくれた。
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コースレイアウト
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予選のコースレイアウト、Advanced Classの決勝トーナメントは逆走になり、一部レイアウトが変更される |
前回と比べ大きな変更点はないものの、今回はより高度なプログラミングと車体制御能力が問われる設計となった。とりわけ、レーンチェンジに設けられた壁(ガードレール)は、選手にとっては威圧的ですらある。ガードレールが導入された目的は、今まで肉眼での判断が極めて困難だった微妙な脱輪を、より明確にすること。つまり、勢いにまかせてドリフト気味にレーンチェンジを駆け抜けるといった荒技が通用しなくなったと言ってよい。さらに、上り勾配から一挙に下り勾配に至る起伏に富んだ設計もポイントのひとつとなっている。ここでのブレーキングも、完走への大きな鍵となりそうだ。なお、スタート方式は例年通り、イン側とアウト側に分かれ2台同時に発走する。
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今年度の大会から導入されたレーンチェンジ部分のガードレール(右下と左上の黒い壁)
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予選は、下り2連続、決勝トーナメントは上り2連続となり、上り、下りの認識がポイントとなった
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IN側からスタートすると直後にある蛸壺(Ω)カーブ
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車検
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坂で車体の底が接触しないか確認
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今年度からタイヤ幅が30mm以内となり、タイヤゲージを使い確認
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今回も、全車例外なく厳正な車検が課せられた。規定に違反していると判断された車体は、当然ながら出走は許されない。マイコンボード、モータ、電池など承認部品を使用しているか、センサなどの認められた部品以外がコースと接していないかなどのポイントを、検査員が公平かつ厳格にチェック。また、タイヤの粘着性が強すぎる場合も車検は通らない。さらに、タイヤの粘着性チェックは車体をコースにセットする直前にも行われる。そして、車体チェックは予選の2走とも事前に受けなければならず、決勝トーナメント前にもあらためて車検を受ける。また、決勝トーナメントにおいては、車検を終了した車体と選手は不慮のアクシデントなど審判が特別に認めた場合を除いて控室に戻ることは許されない。とは言え、地区大会を通じてこの厳しいチェック方式を経験している選手たちは、誰一人として車検をないがしろにする者はいないのである。
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