圧巻のタイムを打ち出した中村選手
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エンジニアになって帰って来た小倉選手
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午前11時30分、今度は一般の部の予選である。初の完走者は、Bグループ第2組の伊藤利春選手。続いて、Bグループ第3組の井上康選手が17.36秒を出したことをきっかけに、高速レースの様相を呈してゆく。そして、Bグループ第5組の小倉太郎選手が力強い走りで、17.00秒というレベルの高いタイムを計測。3位に入る健闘見せ、会場から拍手が巻き起こった。と言うのも、小倉選手は高校時代にこの大会に出場した経験を持つ人物。エンジニアとして社会に出た後に再び参加し、今回は技術と経験を生かした見事な走りを披露してくれた。エンジニアの育成を主眼に置くジャパンマイコンカーラリーの理想像を、小倉選手が体現してくれたのである。会場の惜しみない拍手は、その事実への賞賛の意味も含めたものであった。こうして会場が温かい雰囲気に包まれる中で圧巻の走りを披露したのは、2007全国大会の覇者で昨年準優勝の中村彰男選手である。連続レーンチェンジも、高速クランクも難なくクリアし、表示されたタイムは何と16.48秒。それでも、2度目の栄冠に向けて、まだまだこれからが本番といった余裕の表情である。もちろん予選1位となり、今大会も大方の予想通り、中村選手を中心とした試合展開になっていった。これに次ぐパフォーマンスを見せたのは、昨年ベストタイム賞の三輪秀幸選手。「今年こそは」という気迫が伝わる走りで、16.76秒をマーク。ゴール後は、派手なガッツポーズも飛び出した。そして、stop the NAKAMURAの急先鋒に踊り出たのである。さて、速さだけを追求するのではなく、それぞれの楽しみ方で大会に参加する選手がいることも一般の部の魅力である。まずは、毎回ユニークな車体デザインで参加し続けている水野明選手。今年は、日用品のプラスチック容器を使ったマシンで会場を和ませた。また、大会常連の一人、防衛大学校情報工学科の滝田好宏教授は、例年通り極限まで無駄を殺ぎ落としたスリムな車体で登場した。今大会には、今多和歩選手と住吉賢太郎選手の2人の中学生も参加。両君とも進学後は「高校生の部で参加したい」という希望に瞳を輝かせていた。残念なことに、毎回最高齢選手の記録を更新し続けている大会の"顔"田村眞選手が体調を崩され、その元気なお姿を見ることができなかった。再会を楽しみにしていた若手選手達も寂しさを隠せない様子。「ぜひまた来年お会いできますように」という思いを、全ての大会関係者が胸に抱いていた。
慎重にマシンをセットする
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水野選手(右)は今年もにこやかに参加
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中学生の住吉選手
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